こんにちは。サラリーマン税理士のマッキーです。
「サラリーマンの税金計算 所得税の計算ってどうやるの?」において、サラリーマンの税金である所得税の計算の流れをおおまかに説明しました。
こちらでは個々の所得控除の中身について説明したいと思います。
今回は「雑損控除」についてです。
所得控除 「雑損控除」とは・・
「雑損控除」概要
「雑損控除」とは、地震・風水害などの災害により所有する居住用家屋・家財などに被害を受けた場合に、その被害により受けた損失の金額のうち※一定の金額をあなたの給与所得(サラリーマンの場合)から控除して、課税対象所得金額を減額するというものです。
「所得(もうけ)」から一定の金額をマイナス
↓
「課税対象所得金額」が安くなる
↓
税金が安くなる
ということです。
「雑損控除」の対象となる資産
「雑損控除」の適用の対象となる資産は次の要件を満たすものとなります。
- 「あなた自身」または「あなたと生計を一とする親族『所得が基礎控除額(48万円)以下の人』」が所有する資産に被害を受けたもの
- 災害・盗難・横領により被害を受けたもの(「詐欺」によるものは対象となりません)
- 生活に通常必要な資産であるもの
「生活に通常必要な資産」とは、具体的には居住用家屋、テレビ・冷蔵庫等の家財、衣服、現金、時価30万円以下の宝石・こっとう品などが該当します。
別荘やクルーザー・ヨット、時価30万円を超える宝石・こっとう品などは「ぜいたく品」などであるため、「雑損控除」の対象とはなりません。
「雑損控除」の金額
「雑損控除」により控除される金額(上記「※一定の金額」)は次のうちいずれか大きい金額となります。
- 損失の金額-所得金額(サラリーマンの場合は給与所得金額)の1/10相当額
- 災害等関連支出-50,000円
「損失の金額」が「所得金額の1/10」を超えるほどの金額ならば、甚大な損失とみてその超える部分については所得から控除してあげますという考えです。
「損失の金額」が「所得金額の1/10」を超えない場合においても、「災害等関連支出」が5万円を超えるならば、その臨時的な支出を考慮して所得から控除しますというものです。
「損失の金額」
「雑損控除」により控除される金額を計算する場合における「損失の金額」は次の算式により計算したものです。
「損失の金額」=(損失発生直前の時価又は簿価-損失発生直後の時価)-受取保険金等の額+災害等関連支出の金額
上記算式が原則的な方法とされていますが、具体的に「直前の時価」「直後の時価」などの「時価」を把握することは困難です。
そこで国税庁では「損失額の合理的な計算方法」をホームページで公表しています。
そちらのホームページでは、居住用家屋について「取得価額」が分かる場合と分からない場合の計算方法、家財について「取得価額」が分かる場合と分からない場合の計算方法などが掲載されています。
居住用家屋については建物の造りと広さ・経過年数を元に標準的な損失の額を計算します。
家財などについては、家族構成や家族の年齢により標準的な損失の額を計算します。
「災害等関連支出」
「災害等関連支出」とは災害に関連して支出したもののうち次に掲げる支出をいいます。
- 災害により壊れた住宅・家財などの取り壊し費用・除去費用等
- 災害により住宅などに被害が生じており、新たな災害の拡大・発生を防止するための緊急措置のために支出した費用
- 災害により建物などが倒壊し、その倒壊により他人に損害を与えた場合の損害賠償金など
- その他一定のもの
「雑損控除」を受けるための手続き
「雑損控除」の適用を受けるためには、災害などを受けた年分の「確定申告」が必要となります。
確定申告をするために次のものが必要となります。
- り災(被災)証明書
- 被害を受けた住宅の取得年月、床面積などが分かるもの(売買契約書、登記簿謄本等)
- 受取保険金がある場合、その金額の分かる書類(保険金支払通知等)
- 源泉徴収票(サラリーマン場合)
最後に
近頃は本当に災害が多くなったような気がしますね。
東日本大震災はもとより、たびたび発生する地震。
連発する「50年に1度」の大雨。
何度も襲ってくる台風。
これらの災害に備えて、保険などの加入されている方も多いと思います。
それとともに、万が一、災害にあわれてしまった時は、こちらの「雑損控除」というものがあります。
「雑損控除」という言葉、頭の片隅に置いといてくださいませ。