こんにちは。サラリーマンで少し税金にくわしいマッキーです。
決算月を終え、2ケ月後にやってくる納税の季節。
社長の心理的プレッシャーが到来する時期でもないでしょうか。
特に心理的負担の大きい「消費税」の納付。
滞納額も他の税金に比べて圧倒的に多い「消費税」についてのお話です。
消費税は滞納が多い
「消費税」は最も滞納額の多い税金のうちのひとつです。
少し古いデーターですが、国税庁によると平成30年度末の滞納整理中の額(=滞納額)約8100億円のうち、「消費税」の滞納額は約2900億円。
実に滞納額の35%が「消費税」とのことです
なぜ消費税を滞納してしまうのか
消費税はなぜ滞納してしまうのでしょうか。
消費税=お客様からの預り金
ということを忘れてしまっているということが一番の原因かと思います。
消費税の滞納なんかないという事業者の社長も、今一度、消費税の計算方法を復習してみましょう。
収入(売上など)に関する消費税(お客様から預かる消費税)
ウチは、アパレルショップ「ウニシロ」を経営しているとします。
ウチ(ウニシロ)の売れ筋商品「ブタトレーナー1,100円(税込)」をお客様に販売しました。
ウチには、いくらの現金が入ってきたでしょうか?
ハイ、そうです。1,100円ですね。
この1,100円の内訳は・・・
ウチの商品の対価1,000円と、お客様から預かった消費税100円ですね。
このお客様から預かった消費税100円は、基本的に、納期限までに税務署に納めなければなりません。
支出(仕入、経費など)に関する消費税(消費者として支払う消費税)
ところで、ウチ(ウニシロ)の売れ筋商品「ブタトレーナー」を販売するためには、様々な経費が既に発生しています。
「ブタトレーナー」を販売するために次の制作費がかかったとします。
- 無地のトレーナー仕入代金220円(税込)
- ブタキャラクターのデザイン及びプリント料440円(税込)
- 合計220円(税込)+440円(税込)=660円(税込)
無地のトレーナーの支払金額の内訳は、トレーナーそのものの価格200円と消費税20円。
同じようにデザイン及びプリント料の内訳は、デザイン及びプリントそのものの価格400円と消費税40円です。
ウチは支払先の事業者を通して、既に60円(20円+40円)の消費税を納めました。
消費税の納付金額の計算
アパレルショップ「ウニシロ」の消費税の納付金額を計算してみます。
「ウニシロ」の今回の会計期間における営業活動は、上記「ブタトレーナー」1着の販売のみだったとします。
ウチ(ウニシロ)はお客様から100円の消費税をお預かりしました。
本来なら、この100円を税務署に納めます。
しかしながら、ウチは「ブタトレーナー」の制作に関し、経費の支払いを通して既に60円の消費税を支払済です。
ウチはお客様から100円の消費税を預かったと同時に、1人の消費者として60円の消費税を支払い済です。
この消費税の納付税額40円を算出し税務署に申告・納付する一連の作業が、消費税における確定申告です。
消費税の滞納パターン
お客様から預かっているお金にも関わらず、消費税を滞納してしまう原因として次のことが考えられます。
- お客様からの預り金ということを忘れてしまっている
- お客様からの預り金ということは分かっているが、納付まで期間があると運転資金として使い、納付期限直前になって資金繰りのアテが外れる
- そもそも消費税のことを知らない
お客様からの預り金ということを忘れてしまっている
社長が経営を行う上で一番気にする数字は売上金額だと思います。
しかしながら社長が頭の中で把握している売上金額は大部分の方が税込金額です。
社長は売上金額のうち一部は消費税をお客様から預かっているということは知っています。
お客様からの預り金ということは分かっているが直前に資金繰りのアテが外れる
お客様からの預かり金ということは分かっているけど、実際は納期限までに消費税の納付をすれば問題ありません。
手元には当然ながら、お客様から預かったキャッシュがあります。
キャッシュですから、当然に運転資金として利用します
営業活動に一生懸命励んでいるうちに、気づくと決算が近づきました。
おおよその消費税の納付税額を税理士に確認してみたら、キャッシュが足りない!!
さあ、どうしよう!!
となったりするわけですね。
そもそも消費税のことを知らない
消費税を滞納しないために
消費税を滞納しないためにはどうしたら良いでしょうか。
毎月作成している、または税理士事務所から送付される「試算表」を確認して、その時点で納付すべき消費税額を把握するということをオススメします。
「試算表」の次の勘定科目を確認すれば、おおよその消費税の納付税額が確認できます。
- 負債の欄にある「仮受消費税等」
- 資産の欄にある「仮払消費税等」
お客様から預かった売上などに関する消費税は負債の欄にある「仮受消費税等」という科目に集められます。
ウチが1人の消費者として支払った経費などに関する消費税は資産の欄にある「仮払消費税等」という科目に集められます。
預金に預けてある金額のうち、「仮受消費税等」と「仮払消費税等」との差額が、納付すべき消費税額としてプールすべきおおよその金額です。
試算表末日時点で税務署に納付すべき消費税のおおよその金額ですから、できるならば定期預金など別建てで用意しておくことが理想です。
繰り返しますが、手元の現金や金融機関にある預金残高には、「マッキー用」や「税務署用」などと名前は書いてありません。
試算表がお手元に届いたら、おおよその納付すべき消費税額を把握することを習慣としていただけたら幸いです。