こんにちは。オマケ大好き雇われ税理士のマッキーです。
記事「サラリーマンと株式投資 お金に仕事をさせて「得られるもの」において、株式投資で「得られるもの」を手に入れよう!とお伝えしました。
さて「得られるもの」のうちいくつかは、経済的価値のあるものです。
「経済的価値のあるものを手に入れた」とうことは、個人にとっては「もうかった!!」とうことです。
個人がもうかると政府(国?)は黙っていません。
「もうかったなら税金負担してね」となります。
本日は、株式投資により「得られるもの」のひとつ「配当金」に係る税金について触れてみたいと思います。
「配当金」には税金が生じる
配当金明細には控除されている税金の記載あり
株式投資を始めて、配当金が入金される。
うれしいですよね。
お金に仕事をさせて、お金を運んできた。
さ~て配当金の明細を確認すると・・
「なになに、イオンモール1株あたり配当金20円。100株所有だから2,000円もらえる」ラッキー!!
「それから、所得税306円、住民税100円・・・」「なんじゃこりゃ~!!」
そうです。配当金を受け取る場合、きっちりと税金を控除されて入金されます。
「もうけ」に対する税金の考え方
個人が何かしらでもうかると、政府や都道府県・市町村は黙っていません。
もうかったら税金払ってね!!となります。
個人のもうけ対し政府(国)が税金をかけ徴収するものが「所得税」、都道府県・市町村が税金をかけ徴収するものが「住民税」です。
我々サラリーマンが、一生懸命会社に勤めて働いて得たもうけ(給料)を「給与所得」といいます。
これに対し、お金が一生懸命働いてその結果もらった「配当金」によるもうけは「配当所得」といいます。
給料を「もうけ」というのは、少し違和感を覚えると思いますが、「所得税」も「住民税」も個人の「もうけ」に対して課税する、つまり個人がもうけたら税金を課するという考えは一緒です。
そして、税金の世界では、「給与による収入」も「配当金による収入」も「もうけ」という概念のもと課税をするのですね。
「給与所得」「配当所得」の他にも、個人がアパートなどを人に貸して収入を得たら「不動産所得(=不動産によるもうけ)」として税金が発生し、個人で商売を行っていて収入を得たら「事業所得(=事業によるもうけ)」として税金が発生します。
配当所得の金額の出し方
配当所得の金額は、その年(暦年)の配当による収入金額の合計額です。
収入金額は税引前の金額です。
上のワタシの「イオンモール」の例でいうと税引前金額の2,000円の部分です。
その年において、他の配当金があればその金額も合計します。
本来の配当所得に金額の計算方法は
「収入金額-元本取得に要した負債の利子」
となります。
つまり、借入金により株式投資を行った場合、利息部分が控除されることもあるのですが、我々サラリーマンが借金をしてまで株式投資を行うケースはレアだと思いますので、配当所得=配当収入という認識で大丈夫だと思います。
配当金をもらった場合の手続き他
配当金をもらったら税金が発生することは分かりました。
それでは、我々サラリーマンが「配当金」を受け取ったら、どれくらい税金がとられるのでしょうか?
また、「配当金」を受け取ったら、確定申告など何か必要な手続きがあるのでしょうか?
以上の疑問について、以下に説明したいと思います。
頑張ってついてきてください。
なお、我々サラリーマンの株式投資といえは証券会社などで売買されている上場株式の取引が通常だと思いますので、以下の説明は上場会社の株式の配当を前提としています。
「申告不要」・・証券会社が税金を控除して完了
証券会社などで売買されている株式は、「上場株式」といいます。
この「上場株式」に係る配当金を受け取った場合、証券会社により税金が強制的に控除されますので、配当金を受け取った我々は特に何もしなくても大丈夫です。
「配当金受け取った!!わ~い、わーい!!」
「配当金入ったから、パ~!!とラーメンでも食うか!!」でOKです。(意味不明!?スミマセン)
ちなみに控除される税金の割合は、国の税金である所得税は15.315%(所得税15%,復興特別所得税0.315%)、都道府県・市町村の税金である住民税は5%となっています。
上のワタシの「イオンモール」の配当金の例だと、所得税は収入金額2,000円×15.315%で306円、住民税は収入金額2,000円×5%で100円となっていますね。
ここで控除されているので、何もしなくてOKなのです。
めでたし!!めでたし!!
まったく覚えなくていいのですが、配当所得に係る「申告不要」制度なんと言われることもあります。
「総合課税」により確定申告をする 庶民サラリーマンの場合
マッキーみたいな庶民サラリーマンの場合は、少し面倒くさいですが、確定申告をしたほうが良いというケースもあります。
配当金に係る所得税は確定申告をしない場合、上にあるように15%の税金が控除されて完了です。
ところでワタシの会社勤めによる給料にかかる所得税は、イデコ加入など様々な節税方法を駆使(!?)して最低税率の5%をキープしてます(・・ただ単に収入が少ないという噂もあるとか)
そこで配当金に係る配当所得については「総合課税」というものを選択して、確定申告をしたほうがマッキーには有利となります。
総合課税とは「給与所得」の金額と「配当所得」の金額を合算して所得税を計算するという所得税の計算方法です。
サラリーマンは通常会社が行う年末調整により所得税の計算が正式に計算され完了します。
年末調整は、給与所得のみにより計算された金額なので、これに配当所得の金額をプラスして確定申告により再計算を行います。
総合課税の計算方法による所得税の税率は、「超過累進税率」により計算されます。
マッキーの場合、給与所得に配当所得をプラスして計算したとしても、配当所得の金額は少額なので、税率は5%か多くて10%に収まります。
あれ、総合課税だと税率は5%か10%、確定申告しないと15%!!
そうです。
確定申告をしたほうが税率が低いため、配当金の受取時に証券会社により控除された税金が納めすぎになっています。
納めすぎた税金は還付されますから、確定申告をしたほうが有利ということになるのですね。
また、「総合課税」を選択すると「配当控除」という税額控除もあります。詳しい説明は省略しますが、サラリーマンでいわゆる1000万円プレイヤーではない場合、総合課税を選択し確定申告したほうが有利となる可能性が大きいです。
ここだけ頭の片隅においておいてくださいませ。
配当所得は「総合課税」を選択して確定申告をしても良いというケースでした。
「申告分離課税」により確定申告をする 売却損がある場合
いわゆる上場企業の役員の方々、部長等々、高収入プレイヤーの方々は、給与所得に係る税率が高いため、「総合課税」による確定申告を選択すると不利となる可能性が大きいです。
上記の「申告不要」により何もしないのが一番でしょう。
ただし、その配当金を受け取った年において、上場株式の売却による損失がある場合は、「申告分離課税」というものを選択をして確定申告をしたほうが有利となる場合があります。
「申告分離課税」というものは、「総合課税」の様に給与所得と配当所得を合算するという計算方法と異なり、上場株式に係るものは、上場株式に係るもののみで計算するという計算方法です。
「上場株式に係るもののみ分離して計算する」から「申告分離課税」というイメージで大丈夫です。
上場株式の配当金額のみで「申告分離課税」を選択した場合、所得税の計算方法は、配当所得の金額に15%(他に復興特別所得税)を乗じて税金を計算して完了です。
ここまででしたら、確定申告をしない「申告不要」と何ら変わりません。
もし、その年において上場株式の譲渡による損失がある場合、「申告分離課税」を選択すれば、配当所得の金額とその上場株式の譲渡による損失の金額は合算することができます。
例えば、マッキーの場合、上記のとおり本年イオンモールから2,000円の配当がありました。
仮に、本年において、このイオンモールの株式を売却して1万円の損失が発生したとします。
この場合「申告分離課税」により計算すると2,000円-10,000円=△8,000円でマイナスとなりますから、配当所得の金額は0円となります。
(ちなみに上場株式の損失金額△8,000円も確定申告により繰越が可能ですが今回は省略します)
配当所得が0円となったのに、源泉所得税が納付済となっている、納めすぎだ!!
もちろん「申告分離課税」を選択して、確定申告をすれば、この納すぎの税金は還付されます。
上場株式の配当金の配当所得と、上場株式の譲渡の損失による金額は、「申告分離課税」を選択すれば合算できる。
こちらも頭の片隅においておいてください。
配当所得は「申告分離課税」を選択して確定申告をしても良いというケースでした。
配当金をもらった場合の税金の取られ方と必要な手続きなどをまとめると、次の3通りがありました。
- 申告不要
- 「総合課税」による確定申告
- 「申告分離課税」による確定申告
配当所得については、よく分からなければほっといても大丈夫です。
特に気にせず株式投資に励みましょう。
最後に
株式投資というと、「損失が怖い」からやらない、という人が多数だと思います。
確かに損失は怖いものだし、だれだって損をして嬉しいという人はいません。
いわゆる投資のプロといわれる方々も、1度も損失を出したことがないとい人はいないでしょう。
損失は悔しいものです。そこからすべては始まると思います。
お金につい学んだり、会社について学んだり。社会、経済、流行り、そういったものに目を向けたりするようになるということが、本当は投資の最大のメリットではないでしょうか。
ワタシ自身、投資により大儲けしているというわけではありませんが、生のお金の流れにの感覚が研ぎ澄まされるということは、税理士業務に大いに役に立っていると感じています。
さあ、あなたも株式投資始めてみませんか?(発生した損失については、一切知ったこっちゃないですからよろしくお願いしまーす)